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[事例2-3] 職場復帰が困難なうつ病の事例

【症例】 28歳 男性、システムエンジニア

【症状・職場での状況】

 大学卒業後、システムエンジニアとして就職しました。X年10月に本社から出向して他の会社でシステム構築作業をしていましたが、納期に間に合わせるために時間外労働が増え、睡眠時間を削って仕事をしていました。何とか12月の納期に間に合いましたが、その後、頭痛や吐き気が出現し、会社に行こうとするとめまいが出現して起き上がれない状態が続いていました。また週末になると15,6時間も寝っぱなしで食事も取らずそのまま月曜日も寝過ごしてしまい、出勤できないことが続くようになりました。そのため、上司の勧めもあり精神科を受診し、うつ病と診断され、3か月の休養加療を経て、就労可能との診断書が提出されました。

 復職時、産業医が面談しましたが、病初期より憂うつ感、不安感はあまり認められず、不眠より過眠状態となって意欲低下が著明で、朝に起床ができない状態で休みがちになっていたことが判明しました。面談時には、会社に行けないことに困ってはいましたが、切実感はあまり無く、本人の話では調子が悪くなると「疲労感がとれず、寝ても寝てもまだ眠れるのが不思議である」とのことでした。また、「寝ている時は両親が無理に起こしても、身体が鉛のように重く起きられず、食事や水分もとらない状態となっていた」ということでした。主治医からの情報提供によると、「非定型うつ病であり、職場復帰後2か月くらいは軽減勤務が必要」との意見でした。そのため、職場復帰後1か月間は9時から14時までの時間軽減勤務としました。

 復職後、1週間くらいは何とか通勤ができていましたが、2週目の週末になると疲労感が強くなり、自室から出られない状態で過眠状態となり、月曜日に起床ができないという状態に陥り、会社を休みがちとなっていました。復職後、1か月経っても週初めは休みがちとなり、週末は何とか会社に来れる状態でした。そのため、本人と主治医とで相談してもらい、再び3か月の休職になりました。しかし、休んでいるときは症状が安定して復職に至るのですが、復職後は1週間継続して14時まで勤務することができず、疲労感がいつまでもとれないため、14時までの勤務さえも継続が困難な状態が持続しています。

【考察】

 本人の性格傾向として、対人関係に対して過敏で、密な対人関係は苦手でした。しかし今回の精神的不調を来たしたときに、それほど明確な原因が職場から見ると思い当たりませんでした。最初のエピソードの時も時間外労働も40時間から50時間であり、それほど過重な労働でもありませんでした。また、主治医からの情報提供書により、復職時の職場での配慮事項として時間軽減勤務を実施していますが、その緩和勤務も継続できない状態です。就労環境の問題の可能性も考え、本人、上司、主治医にも相談しましたが、その可能性は否定されました。職場では復職時にできる配慮は十分にしていますが、本人が復職したときに継続的に就労できるだけの疲労感の回復が得られず、なかなか職場復帰ができない状態となっています。典型的なうつ病の症状である、ゆううつ気分はあまり強くなく、また今回のうつ病の原因が明確でなかったため、職場での配慮内容の方針が立たず、最終的には本人の精神的体力、身体的体力の両方が十分に回復できていない状態と考えられました。