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[事例2-1] 職場復帰をあせらないことが良い結果を生んだうつ病の事例

 44歳の女性Mさんは、ソフトウェア関連の開発職として活躍していました。夫と2人の子どもの4人暮らし。女性総合職として努力を重ね、3年ほど前には抜擢人事で管理次長となり、張り切って仕事を続けていました。育児・家事をこなしながらのハードな毎日で、休日出勤や残業も多かったようです。

 とくに6か月前に、新規のソフトウェア開発をめぐり、部下の男性社員が顧客とトラブルを起してからは、その対応に追われ、休日返上という状況でした。開発業務は得意なMさんでしたが、顧客との対応、男性部下への指導には随分とまどいました。また、若い一般職の女性からは、その男性社員を庇うような言動や、指導方法に関して暗に批判されることがあり、非常に傷ついたりもしました。しかし、そんな努力がやっと実り、トラブルは解決しました。

 ところが2か月ほど前より、何か仕事に身が入らない、疲れがたまる、人と話をするのが億劫になるなどと感じるようになり、家事も最低限の状態に陥ります。日頃の Mさんの行動パターンからみると考えられないことでした。そして、とうとう2週間前からは無断欠勤するようになりました。そのため、心配した夫に連れられて精神科受診となりました。初診時、本来の抑うつ感に加えて、総合職の立場にもかかわらず無断欠勤してしまったことへの自責感が強く、非常なショックを受けている様子でした。

 自殺の可能性もあるうつ病と診断され、精神科への入院が勧められましたが、Mさん自身や家族の強い希望から外来治療とし、当分は休職してもらうこととしました。精神科薬物療法とカウンンセリングを主体とした治療が進められましたが、出世コースからはずれたという気持ちが強く、復職へのあせりから一進一退の状況がしばらく続きます。

 ところが、4回目の診察の際、Mさんは現在までの生い立ちを自分史のような形で自主的にワープロで書いてきました。動機を尋ねてみると、現在の自分に自信がもてないので、過去を振り返ってみたかったのだと説明してくれました。そこで、引き続き日記をつけてもらいながら、気持ちの整理を進めていくことにしました。その診察以降、Mさんは目にみえて気持ちが安定していき、復職へのあせりもなくなり、6か月ほどで職場復帰をはたすことができました。

 復職に際しては、総合職へのこだわりが強かったためそのままとし、男性の部長が積極的にサポートする体制が取られました。また、必ずしも肌が合わなかった部下の女性とも、お茶を飲むなど積極的に交流をはかり、職場全体のまとまりが出てきたようです。

 現在のMさんは、6か月間休職したことで、自分の生き方や仕事への姿勢についてじっくりと考えることができたと、休んだことに関して積極的な評価を下せるようになりました。すっかり元気になったMさんに対し、ひと回り大きくなったと職場での評価も上々です。とはいえ、ついつい仕事にのめり込む傾向の強いMさんですので、職場としても定期的なチェックと業務量の調整を行い、適度の休養を取らせるなどの配慮を心がける必要があるでしょう。